現代日本で一般的に用いられているカタカナ(片仮名)ですが、どのように作られたのでしょうか?
平安時代中期に成立した『うつほ物語』においては、片仮名が書の手本にあげられており、このころにはすでにカタカナが成立していたことがうかがえます。
カタカナは漢字の一部を省略して作られたようです。
今回の記事では、片仮名の歴史や成り立ちを解説するとともに、カタカナのア行『アイウエオ』がそれぞれどの漢字の一部を省略してできたのかを解説していきたいと思います。
- カタカナは平安時代のはじめに誕生し、中期には体系化
- 現代日本では、外国語や擬音語・擬態語に用いられる
- 「アイウエオ」の字源は、漢字の「阿伊宇江於」
カタカナ「アイウエオ」の字源は漢字?片仮名の効果に迫る
カタカナは平安時代中期には、文字体系として認められていた形跡があります。
カタカナの成り立ち
カタカナは平安時代初めに誕生したとされ、漢字の一部分を簡略化して作られたものです。片仮名という名前も「片」が漢字の一部分を、「仮名」が簡略化した文字を指すことから、「片仮名」と呼ばれるようになりました。
この文字はもともと、漢文を読みやすくするために使われはじめ、12世紀くらいに現在に近い形に統一されました。現代では、外来語、擬音語、科学的な用語など、多岐にわたる単語の表記に用いられています。このような背景から、カタカナは日本語の文字体系の一部として、非常に重要な位置を占めているのです。
カタカナの効果・効力
カタカナは日本語の表記において独特の役割を持ちます。例えば、外来語を表現するときに、よく使われてますよね。
- サッカー
- テニス
- エントランス
- カレンダー
- ライト
ひらがなで書くと、なんだか間抜けな感じがします。
- さっかー
- てにす
- えんとらんす
- かれんだー
- らいと
外来語に使われる以外にも、カタカナにはこんな効果があるとされています。
- 言葉を強調し、印象づける
- 臨場感を持たせる
言葉を強調し、印象づける
カタカナは特定の言葉を強調する効果があります。例えば、「力」を「チカラ」と表記することで、その言葉に強い印象や強調を与えることができます。
2023年12月現在、国内に残るは一店舗となってしまった『東京チカラめし 大阪日本橋店』のように、力って書くよりなんかチカラ強さは感じますよね。残り一店舗だけど。
他にも、『あの人、素敵だなあ』と書くのと、『あの人、ステキだなあ』って書くのだと、漢字のほうが年上感を感じますよね?多分。
臨場感を持たせる
擬態語や擬音語を表すときにカタカナは多用されます。
- 雷が、ゴロゴロとなっている。
- 皿を落として、ガシャンと割れた。
- 風がサラサラと、木々を揺らしている。
- 猫がニャーと鳴きながら、塀を歩いている。
- 雨がポツポツと、窓にあたり始めた。
なぜだかは分からないですが、カタカナで書くことによって、実際にその音が鳴り響く様子を思い浮かべることができますよね。
このように、日本語において、カタカナは様々な用途で使われています。
カタカナ「アイウエオ」の字源は?
それでは『ア行』のカタカナの字源となった漢字をみていきましょう!
「ア」の字源は、漢字「阿」
カタカナの「ア」は、漢字「阿」の偏(阝:こざとへん)から生まれました。具体的には、行書体の「阿」で見られるこざとへんが簡略化され、その形状がカタカナの「ア」となったのです。当時の筆記形状である「卩」のような形状が変化して「ア」になりました。
「イ」の字源は、漢字「伊」
カタカナの「イ」は、漢字「伊」の偏(亻:にんべん)から生まれました。人偏は『イ』に似てますもんね。
「ウ」の字源は、漢字「宇」
カタカナの「ウ」は、漢字「宇」の冠(宀:うかんむり)から生まれました。
「エ」の字源は、漢字「江」
カタカナの「エ」は、漢字「江」の旁(つくりと読む、漢字の右側の部分)から生まれました。これはそのまんま過ぎて、まあそうだよねって感じになりますね笑
「オ」の字源は、漢字「於」
カタカナの「オ」は、漢字「於」の偏(方:ほうへん)から生まれました。
なかなか「於」は見慣れない漢字ですね。「本日、13時から開催された会議に於いて」とかで使います。
カタカナのア行『アイウエオ』の字源まとめ
この記事のポイントは、
- カタカナは、12世紀くらいに現在に近い形に統一
- カタカナは漢字の一部を利用して作られた
- もともとは漢文を読みやすくするために用いられた
- 現代では、外国語・擬音語・擬態語に用いられている
- 臨場感や強調の効果がある
- 「ア」の字源は、漢字「阿」
- 「イ」の字源は、漢字「伊」
- 「ウ」の字源は、漢字「宇」
- 「エ」の字源は、漢字「江」
- 「オ」の字源は、漢字「於」
カタカナ(片仮名)の字源について解説してきました!
現代日本においてもカタカナは一般的に用いられている文字体系になります。文章を書く際に、ここぞ!と強調したいときに、『カタカナ』を使っていきたいですね。