今日はニュースを眺めていたら、【主権免除】という聞きなれない言葉が聞こえてきたので、気になったので調べてみました!同じように気になる方の参考になれば幸いです。
【主権免除】が出てきたニュース
韓国で元慰安婦や遺族ら20人が日本政府に約30億ウォン(約3億円)の損害賠償を求めた訴訟を巡り、日本政府は21日、「国際法上の(国家が外国での裁判を免除される)主権免除の原則から、日本政府が韓国の裁判権に服することは認められず、訴えは却下されなければならない」と韓国政府に外交ルートで伝えた。韓国で裁判が始まる可能性があるが、日本政府は裁判には応じない方針だ。
日本政府「主権免除」を主張、韓国の元慰安婦訴訟で却下求める
ちなみに、この従軍慰安婦が損害賠償請求している訴訟について、外務省の見解については、こちらをご確認ください。
1 本21日,我が国は,韓国政府に対し,2016年12月28日に元慰安婦等が日本国政府に対して提起した韓国ソウル中央地方裁判所における訴訟について,国際法上の主権免除の原則から,日本国政府が韓国の裁判権に服することは認められず,本件訴訟は却下されなければならない旨を伝達しました。
元慰安婦等による韓国国内の訴訟に係る我が国の立場の韓国政府への伝達
2 いずれにせよ,慰安婦問題を含め,日韓間の財産・請求権の問題は,1965年の日韓請求権・経済協力協定で完全かつ最終的に解決済みです。また,慰安婦問題については,2015年の日韓合意において「最終的かつ不可逆的な解決」が日韓両政府の間で確認されています。
経緯をまとめると、
・2016年12月28日に、元慰安婦等が日本国政府を相手取り、韓国ソウル中央地方裁判所に訴訟を起こした。
・日本国は【主権免除】の原則により、訴訟は却下されるべきと主張し続けていた。そのため、訴状についても受け取りを拒否していた。
・裁判開始は先延ばしされていたが、2019年3月、 韓国ソウル中央地方裁判所は日本側に訴状が届いたとみなす公示送達の手続きを開始。
・2019年5月9日に 公示送達の手続き が完了。裁判が始まる可能性が高まったので、改めて日本政府は【主権免除】の原則に基づき、訴訟は却下されるべきと主張。
※公示送達→申し立て人が相手方の住所が不明なため等、訴状を送ることができない場合、法的に相手方に訴状を送ったとみなすことができる制度
で、、、【主権免除】って何?簡単にわかりやすく解説。
主権免除とは、国際的な民事訴訟において、訴えられる側が国(配下の行政組織を含む)の場合には、外国の裁判権から免除されるという国際慣習法の一つ。
すごい簡単に言えば、【国を被告とする裁判は、他の国は起こすことができない】ということですね。
主権免除という言い方ではなく、国家免除・裁判権免除という言い方もされるようです。
裁判権免除のほうがわかりやすい気が・・・笑
国際慣習法とは、まだ条約となってはいないものの、多くの国で慣習的に守られているのであれば、国際法とみなせるという仕組み。
つまり、【主権免除】は、多くの国で慣習的に守られているということです。
とはいえあいまいな状態であることには違いないので、【国及びその財産の裁判権からの免除に関する国際連合条約 (略称:国連国家免除条約)】が存在し、日本は2010年5月11日に批准しています。
ただ、残念ながらこの条約の発効には、批准国30か国が必要となるのですが、2019年5月21時点で批准国22国であり、まだクリアしておらず、発行には至っていません。
韓国は批准していません。
この条約のポイントについては、下記の通り外務省がまとめているのが詳しいので確認してください。
国及びその財産に関して免除が認められる具体的範囲等について主に以下のとおり定める(注)。
「国及びその財産の裁判権からの免除に関する国際連合条約」について
(1)国は、当該国が明示的に同意した場合等を除き、他の国の裁判所の裁判権からの免除が認められる。ただし、商業的取引から生じた裁判手続、雇用契約に関する裁判手続等本条約に定める裁判手続については免除が認められない。
(2)国の財産に対する強制的な措置(差押え等)は、当該国が明示的に同意した場合等を除き、とられてはならない。
(注)本条約は、刑事手続及び軍事的な活動については対象外としている。
今後予想される展開
筆者は、法律家ではありませんので、ただの個人の意見になります。
そんな感じなのかねーというレベルで、思っていただければ幸いです。
韓国が【国及びその財産の裁判権からの免除に関する国際連合条約 (略称:国連国家免除条約)】に批准していないからといって、【主権免除】を認めないというのは少々無理があるのではないかと思います。
というのも、【主権免除】という考え方は、国際慣習法であり、多くの国で守られていることだからです。
そもそも韓国はどうして、この機になって、裁判開始しようと思ったのでしょうか。
ここ最近、「レーザー照射問題」「徴用工訴訟」などなど、いい空気感じゃないのは間違いありません。
その勢いで、元慰安婦の訴訟も進めてしまおうか、という意図があるのではないのでしょうか。
今後ですが、裁判が進むようであれば、日本国不在のまま、きっとおそらく、日本国に不利な判決がでることは間違いないでしょう。
そのとき、日本はやはり【主権免除】を盾にして、ICJ(国際司法裁判所)に訴えるのではないでしょうかね。
というか、そもそもの話をすれば、慰安婦問題は1965年の日韓請求権・経済協力協定で完全かつ最終的に解決済みであり、2015年の日韓合意において「最終的かつ不可逆的な解決」をしたと、双方認めているんですけどね。。。