ベルマーク教育助成財団が行っている【ベルマーク運動】
協賛企業が販売する商品についているベルマークを集めて、ベルマーク財団に送ると、その点数に応じて、学校の備品等と交換できる仕組みを構築しています。
しかし現在、ベルマークに協賛している企業(商品にベルマークをつけて、備品の費用を実質的に払ってくれる会社)がどんどん減ってきているのが現状です。
歯止めはかけられるのか、現在の状況と、考察をまとめていきたいと思います。
ベルマーク運動ってバカバカしいよねっていう記事を以前書いたことがあるので、こちらも興味ある方はぜひご覧くださいませ。
ベルマーク運動に協賛する企業の推移
2023年12月15日、この記事を執筆している時点での協賛企業数は45社です。
近年の年末時点の推移を調査してみましょう。
年 | 年末時点協賛企業数 |
---|---|
2020年 | 52 |
2021年 | 48 |
2022年 | 46 |
2023年(12月15日執筆時点現在) | 45 |
このように着実に減っているのが現状です。
ベルマーク協賛企業からの脱退の背景と現状
なぜ企業はベルマーク運動から脱退するのか?
ここ最近の、ベルマーク協賛企業から脱退した法人をまとめてみます。
年月 | 法人名(ベルマーク番号) |
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2023年6月 | 牛乳石鹼共進社(ベルマーク番号37) |
2022年6月 | 東京ワンタン本舗(ベルマーク番号8) |
2022年3月 | ロッテ(ベルマーク番号57) |
2021年3月 | クラレトレーディング(ベルマーク番号30) |
2021年3月 | BRITA Japan(ベルマーク番号66) |
2021年3月 | 岩塚製菓(ベルマーク番号16) |
2021年3月 | ファミリーマート(ベルマーク番号23) |
辞めた理由は公開にしていないことが多いですが、過去の理由ですと『幅広い世代の方々への社会貢献活動を模索のため』といったように、ベルマークは子どもたちに向けた支援ですので、そういった若い世代だけではなく、幅広い年代に対して、社会貢献していきたいという思いがあるから。というのがあります。
まあ、こういったもっともらしい理由は建前で、本音を言えば、『物価高騰による利益減の状況なので、株主に対して少しでも利益をもたらすために、余分な経費は削ろう』ということだと思います。
残念ながら、消費者心理として、ベルマークが付いている商品を進んで買おうという意識もそこまで高くないので、ベルマーク運動から撤退した企業は、プロモーションとしても売上向上施策にはならないという結論をだしたのだと思います。
ベルマーク運動の歴史
ここまで、撤退した企業にスポットライトを当ててきましたが、そもそものベルマーク運動の歴史について、簡単にまとめておきます。
1957年ごろから、教育に関する設備が乏しい学校の先生方が中心となり、よりよい教育環境を求めて、設備の充実を求める運動を行ったのがきっかけで、1960年にベルマーク運動を運営管理する『教育設備助成会(現:ベルマーク教育助成財団)』が設立されました。
そもそも、教育に関する設備が乏しいのは、国・都道府県・市区町村がどうにかしなくてはいけない問題だろう。という意見もみられたようですが、自助努力もなしにただただ要望するだけでは駄目だろうと考える人もおり、ベルマーク運動はある程度の規模感で取り組まれるようになったようです。
商品パッケージに付いているベルマークを切り取り、それを集めて教育援助に利用するこの運動は、60年以上にわたり約300億円近い援助を実現してきました。対象はへき地の学校から特別支援学校、災害に見舞われた学校、さらには海外の日本人学校まで広がっています。
ベルマーク運動を取り巻く環境の変化
ベルマーク運動について、批判にさらされるのは、その仕訳作業です。
会社ごと(ベルマーク番号)ごとに、ベルマークを分けて、集計しなくてはいけません。
以前より、PTAが主として実施されてきたみたいですが、この手間がかなりめんどくさく、相当な時間を要するので、批判を浴びてしまっているようです。
なかには、その集計作業時間バイトして、そのお金寄付したほうがもっと多くのお金が集められるといった意見も散見されます。
この仕分け作業がPTA、ストレートに言えば、子供のお母さんがほとんどの組織でなされており、『主婦の労働力はタダだと思ってる』といった声もあり、そもそも、女性の社会進出も相まって、1枚数銭~数円単位の紙を仕分けて、集計している時間がもったいないと思う人が増えてきた。というのは背景にありそうです。
そうした、環境の変化があるにも関わらず、60年近く同じ方式というのが、きついものがあり、撤退する企業が増え、協賛企業が減っているということに繋がっていると考えられます。
ベルマーク運動の未来への展望
ベルマークの価値と持続可能性
ベルマークは教育現場で、不足している備品等を、そこに集う関係者たちが頑張ることによって、実質的な費用負担なしに、手に入れることができるという点で有効である一方で、集計業務をはじめとした労力がボランティアに頼らざるを得ない点で、継続可能性が薄いと考えられます。
デジタル化の可能性と課題
ベルマーク運動は、デジタル化する時期にきたのではないかと、個人的には思います。
例えば、QRコードを用いた点数管理により集計作業をかなり簡略化する方法などが考えられます。
が、実装までには時間とコストがかかることが予想され、営利的な企業ではない組織が運営しているので、そこに対する投資とかがなかなか難しいというジレンマが立ちはだかります。
とはいえ、向こう50年継続するためには、ここでシフトする以外道はないとは思うんですけどね。
ベルマーク運動に協賛する企業の減少を食い止めるには
とりとめなくなってしまいましたが、まとめると、ベルマーク運動に協賛する企業の減少を食い止めるには
- デジタル化を進め、集計作業といったボランティアの労力に頼るのをなくす。
- そういったベルマーク運動に対するネガティブな部分をなくし、簡単に社会貢献ができる!というプロモーションを進める。
といったことが必要だと考えます。
ベルマーク運動バカバカしいよね、という記事も過去に書いたことがあるので、あわせて御覧くださいませ。